地下壕


引用:ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー 立東舎

戦争の遺物が現代の無知と暴走によって再び悲劇を引き起こす、風刺と皮肉に満ちたブラック・ユーモアSFです。

発表

発表日:1970年8月
出版:小説サンデー毎日 毎日新聞社

あらすじ

物語は、東京・練馬で突如発生した大震災から始まります。死者は推定5万人以上にのぼり、新興住宅地が地下に沈むという未曾有の大災害でした。
真相を探る刑事たちは、ハワイでサーフィン三昧の生活を送っていた男を重要参考人として連行します。彼は元・くず拾いで、練馬のゴミ捨て場でゴミを漁っていた際、突然地面に落ち、地下の洞窟に迷い込んだと証言します。
そこには大量の乾パンや小麦粉などが保管されており、刑事たちはそれが太平洋戦争末期に日本軍参謀本部が武蔵野に掘った極秘地下壕であることを突き止めます。
東京都はこの地下壕を浄化槽として再利用できないかと検討を始めますが、その存在を知らずに赤軍派の学生たちが地下壕に立てこもってしまいます。
やがて出口をふさがれ、寒さに耐えきれなくなった学生の一人が、ヒーターと誤認して爆破装置を起動。地下壕は地上もろとも崩壊し、物語は皮肉な結末を迎えます。

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー立東舎2019年8月24日476ページB5