
人間の欲望と文明の愚かさを宇宙的な視点から描いた寓話的な一編。
発表
発表日:1965年6月
出版:漫画讀本 読売新聞社
あらすじ
ある日、日本の団地に謎の円盤が飛来し、正体不明のガラクタのような塊を残して飛び去った。やがて同様の円盤が世界各地に現れ、同じような物体を次々と置いていく。人々はその中に一粒だけ埋め込まれた宝石を見つけ、こぞってそれを取り出し始めた。
しかし、宝石を抜き取った途端、残された物体は猛烈な悪臭を放ち、周囲を汚染し始める。人々は宝石を求めて争い、環境は破壊され、社会は混乱の渦に巻き込まれていく。
世界が大戦争状態に突入した頃、ようやく円盤との交信に成功する。円盤からのメッセージはこうだった——「ゴミの中には分解機があり、あと1分ですべてのゴミを分解する」。だがその“分解機”とは、まさに人々が奪い合った宝石そのものだった。
その事実が判明した瞬間、人類は一人残らず分解されてしまう。円盤は「人間が欲を出してゴミからそれを取り出したことが原因だ」と告げ、静かに去っていった。
それから何万年もの時が流れ、かつてのゴミの中から湧き出た生命体——それが人間だった。
収録されてる出版物
| タイトル | 出版社 | 発行年 | ページ数 | 判型 |
|---|---|---|---|---|
| 手塚治虫文庫全集 ひょうたん駒子 | 講談社 | 2011年6月10日 | 512ページ | 文庫 |