われ泣きぬれて島と


引用:手塚治虫文庫全集 ひょうたん駒子 講談社[われ泣きぬれて島と]

孤独と愛をテーマにした幻想的な短編漫画です。

発表

発表日:1966年9月10日
出版:漫画讀本 夏の増刊 読売新聞社

あらすじ

失恋の痛手から、男は船上で入水自殺を図る。だが死にきれず、流れ着いたのは誰もいない小さな孤島だった。そこで彼は不思議な体験をする。眠ろうとすれば砂の枕と布団が現れ、空腹になれば海から魚が、酒を欲すれば木の実からカクテルが与えられる。島はまるで意思を持っているかのように、彼を優しくもてなしてくれるのだった。
やがて男は島に心を開き、島も彼を愛するようになる。二人は相思相愛となり、穏やかな日々が続く。だがある日、島に別の男女が流れ着き、関係は揺らぎ始める。そして、島の周辺が水爆実験場になるという知らせが届く。
男は島を離れざるを得なくなり、別れの際に島の土を一握り持ち帰る。後日、実験のニュースを耳にした彼は、島が消えたとは信じられず、「島は自分と“息子”が来るのを待っている」と願い続ける。
※「息子」とは“ジャリ(砂利)”のこと。子どもを意味する俗語「ジャリ」にかけた、ちょっとした言葉遊びである。

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
手塚治虫文庫全集 ひょうたん駒子講談社2011年6月10日512ページ文庫