バックネットの青い彼(バックネットの青い影)


引用:手塚治虫文庫全集 SFミックス 講談社[バックネットの青い影]

万年ベンチだった男が、謎の薬でエースにのし上がる――だがその影を追った先に待っていたのは、狂気と破滅だった。野球×SF×ミステリーの異色短編です。

手塚治虫作品の中でも珍しい“野球もの”として知られています。

発表

発表日:1962年10月20日
出版:別冊冒険王 秋季号 秋田書店

あらすじ

学生時代は万年ベンチだった江田は、プロ入り後グレーソックス軍のエース投手として活躍していた。
一方、かつての花形選手だった犬丸は二軍暮らし。
その逆転がどうしても納得できない犬丸は、江田を問い詰め、ある秘密を聞き出す。

江田はかつて、謎の老人から「これを飲めば自分の実力がわかる」と言われ、薬を渡されたという。
その薬を飲むと、しばらくして“青い人影”が現れ、その動きを真似ると何事もうまくいくのだと語る。
老人は「自信がついたら薬をやめて実力で勝負しろ」と忠告していたが、江田はすでに薬を断っていた。

犬丸はその薬を奪い、江田を殺して沼に沈める。
そして自ら薬を使い、青い影の動きに従って投球し、次第に一軍で活躍するようになる。
だが、薬なしでは何もできなくなった犬丸は、次第に精神的に追い詰められていく。

ある日、江田の白骨死体が発見され、犬丸の犯行が疑われる。
その頃から、犬丸の前にも青い影が現れ始める。
彼はその影を江田の亡霊だと思い、バットで殴り倒す――だがそれは、1分後の自分自身だった。

そして1分後、犬丸は頭に衝撃を受けて死亡する。

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
手塚治虫文庫全集 SFミックス講談社2011年3月11日352ページ文庫

登場キャラクター