
地方都市を舞台にした“陸の孤島”型サスペンスで、情報統制と薬物操作によるクーデター計画を描いた異色作です。
タイトルは1962年にアンソニー・バージェスが発表し、のちにスタンリー・キューブリックが映画化した『時計じかけのオレンジ』のもじりである。
ただし、原作小説の内容を読んでおらず、テーマも知らなかった。そのため、作品の内容に直接的な関連性はなく、タイトルのみが引用的に使われている。
発表
発表日:1970年4月17日 – 1970年5月8日
出版:週間ポスト 小学館
あらすじ
舞台は南アルプスの東に位置する架空の都市・稲武市。時計工場の進出によって急速に発展したこの町で、ある朝からテレビやラジオが映らなくなり、「朝日新聞」以外の新聞も届かなくなる。主人公の白川雄作は、違和感を覚えながらも出勤するが、市外に住む社員が誰も出社していないことに気づく。
白川は密かに好意を寄せる同僚・秋吉ミチから「社食の米の味がおかしい」と聞き、薬屋に分析を依頼。すると、米には脳の働きを鈍らせる劇薬「ピューロマイシン」が混入していたことが判明する。だがその薬屋は翌日失踪し、白川自身も山中で自衛隊に拘束される。
実は稲武市は、自衛隊の一部将校による首都占拠の予行演習の場となっていた。住民は薬で操作され、外部との通信は遮断されていたのだ。白川は妻と協力し、養殖場の鯉に「SOS」とコールタールで書き込み、天竜川に放流することで外部に助けを求める。
やがて将校は雷に打たれて死亡し、計画は崩壊する。
収録されてる出版物
| タイトル | 出版社 | 発行年 | ページ数 | 判型 |
|---|---|---|---|---|
| ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー | 立東舎 | 2019年8月24日 | 476ページ | B5 |