原人イシの物語


引用:手塚治虫公式HP-原人イシの物語

文明社会に突如現れた“最後の野生インディアン”イシの数奇な人生を描いた、セミドキュメンタリー漫画です。
物語は、クローバー博士の記録を軸に進行していきます。

発表

発表日:1975年10月20日
出版:週刊少年サンデー 小学館

あらすじ

1911年8月、カリフォルニア州の牧場に、言葉も通じず、文明の痕跡を持たないインデアンの男が現れます。彼は北米先住民ヤヒ族の生き残りであり、自らを「イシ」と名乗りました。イシは博物館に保護され、クローバー博士には心を開き穏やかに接しますが、彼を「原始人」と蔑む青年トーマス・ウォータマンにはなじめません。
博士の調査によって、ヤヒ族は白人による迫害から逃れるため、家族とともに12年間森の奥で静かに暮らしていたことが判明します。しかし、ある白人が住処を発見し、イシ以外の家族は皆殺しにされていました。イシは、ヤヒ族最後の生き残りだったのです。
1914年、クローバー博士はイシを彼の故郷である山地へ連れて行くことを決意します。そこでトーマスは、イシの家族を殺した白人が自分の祖父、リチャード・ウォータマンであることを知ります。イシは初めてトーマスに会った時から、匂いによって彼がリチャードの子孫であることに気づいていました。
山中で足を怪我したトーマスに対し、イシは復讐することなく、彼を背負って帰ろうとします。その姿に心を打たれたトーマスは、初めてイシに心を開きます。「自分の家はもう博物館なのだ」と語るイシの言葉には、過去を受け入れた者の静かな誇りが込められていました。
その翌年、イシは結核を患い、1916年に静かに生涯を終えます。

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
手塚治虫名作集16 アポロの歌2集英社1995年9月19日313ページ文庫

登場キャラクター