ガラスの城の記録


引用:ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー 立東舎

冷凍睡眠によって延命を図った一族が、時間と倫理の崩壊の中で狂気に陥っていく未完の長編SFです。

群像劇的な構成であり、一人の主人公ではなく、複数の人物が交錯しながら物語が進むスタイルでかかれてます。
『現代コミック』『COMコミック』で掲載されたが休刊になったため未完となった。
※途中までしか掲載されていないコミックもあります。購入前にご確認いただくことをおすすめします。

発表

発表日:1970年4月17日 – 1970年5月8日
出版:週間ポスト 小学館

発表日:1972年12月22日 – 1973年2月23日
出版:COMコミック 虫プロ商事

あらすじ

物語の中心となるのは、資産家・札貫礼蔵(ふだぬき れいぞう)率いる札貫家。彼は資産を増やすため、家族全員を冷凍睡眠させ、利子で財産を増やすという計画を実行する。管理役として四郎だけが目覚めたまま残され、他の家族は眠りにつく。
しかし、冷凍睡眠は後に法律で禁止され、札貫家の屋敷は「ガラス屋敷」と呼ばれ、忌み嫌われる存在となる。交代で目覚める一族は、兄弟や親子の年齢が逆転し、長期の冷凍睡眠によって脳に障害をきたし、人格が崩壊していく。
礼蔵の長男・一郎は冷凍から目覚めた後、良心を失い、近親相姦や殺人を繰り返すようになる。彼の行動は家族をさらに混乱させ、札貫家は次第に破滅へと向かっていく。
物語には、2000年もの間カプセルで眠っていた謎の女・ヒルンも登場し、彼女の存在が一郎の心を惑わせる。さらに、一般人が死刑囚を合法的に殺すことができる「殺人法」など、倫理を揺るがす制度も描かれ、物語は混沌とした未来社会の縮図となっていく。

副題

  • 第一章「ガラス屋敷の人々」
  • 第二章「二千年眠った女」
  • 第三章「決闘」
  • 第四章「死刑囚二五三五号」
  • 第五章「本日休業」
  • 第六章「豚と闖入者」
  • 第七章「毒をもって毒を制す」

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
ガラスの城の記憶秋田書店1994年8月15日184ページ文庫
ボンバ! 手塚治虫ダーク・アンソロジー立東舎2019年8月24日476ページB5

登場キャラクター