
暴れん坊の中学生と“自分から生まれた女の子”が巻き起こす、奇想天外な学園ドタバタコメディです。
『やけっぱちのマリア』は、『ふしぎなメルモ』『アポロの歌』と並ぶ、手塚治虫による性教育漫画のひとつです。中でも本作は、性教育というテーマに最も深く踏み込んだ内容となっており、教育的な意図が強く込められています。
当時、永井豪の『ハレンチ学園』をきっかけに、少年漫画にエロティックな描写が流行し始めていた時代背景の中で、その風潮に危機感を抱いた手塚治虫が、“正しい性教育を漫画で描く”という明確な目的をもって執筆した作品です。
パロディネタも随所にみられます。
高倉健…東映映画「網走番外地」シリーズ
タテヨコの会…三島由紀夫「盾の会」
チータ…歌手・水前寺清子
よど号…旅客機ハイジャック
いいじゃないの幸せならば…佐良直美の歌
黒ネコのタンゴ…皆川おさむの歌
~やおまへんか…落語家・月亭可朝の口調
カバゴン先生…教育評論家・阿部進
男は黙ってサッポロビール…三船敏郎のCM
佐藤栄作首相
みのべさん…美濃部都知事
何はなくとも江戸むらさき…佃煮のCM
また作品に関係ないキャラクターとして、鉄腕アトム、ゲゲゲの鬼太郎、お化けのQ太郎が登場します。
発表
発表日:1970年4月15日 – 1970年11月16日
出版:少年チャンピオン~週刊少年チャンピオン 秋田書店
あらすじ
市立第十三中学に通う不良少年・焼野矢八(やけの やはち)は、喧嘩っ早い問題児。ある日、彼の体からエクトプラズム(霊的な物質)が飛び出し、それが父親の持っていたダッチワイフに宿って、少女「マリア」として“誕生”する。
マリアは矢八の性格と母親の仕草を受け継いだ、気風のいい美少女。矢八と同じ学校に通い始めるが、彼女の存在は学園に大混乱を巻き起こす。特に、学園を支配する不良グループ「タテヨコの会」や、その女ボス・雪杉みどりはマリアに敵意をむき出しにし、矢八との対立が激化していく。
一方で、担任の秋田先生は、矢八とマリアを理解しようと奮闘し、正しい男女関係を学ぶクラブ「B.Gクラブ」を設立。マリアの存在を通じて、性や命、家族の在り方を問いかける物語が展開されていく。
副題
- 第1回「男はつらいよ その(1)」
- 第2回「男はつらいよ その(2)」
- 第3回「男はつらいよ その(3)」
- 第4回「うらめしやこんにちは その(1)」
- 第5回「うらめしやこんにちは その(2)」
- 第6回「うらめしやこんにちは その(3)」
- 第7回「B・Gクラブ (1)」
- 第8回「B・Gクラブ (2)」
- 第9回「ユウレイはふとりすぎ (1)」
- 第10回「ユウレイはふとりすぎ (2)」
- 第11回「おとこの花道 (1)」
- 第12回「おとこの花道 (2)」
- 第13回「おとこの花道 (3)」
- 第14回「おとこの花道 (4)」
- 第15回「おとこの花道 (5)」
- 第16回「おとこの花道 (6)」
- 第17回「アダムとイブ (1)」
- 第18回「アダムとイブ (2)」
- 第19回「アダムとイブ (3)」
- 第20回「アダムとイブ (4)」
- 第21回「アダムとイブ (5)」
- 第22回「アダムとイブ (6)」
- 第23回「最終回」
収録されてる出版物
| タイトル | 出版社 | 発行年 | ページ数 | 判型 |
|---|---|---|---|---|
| やけっぱちのマリア | 復刊ドットコム | 2019年4月28日 | 440ページ | B5 |