
南極からやってきた野生児・駒子が東京で巻き起こす騒動を描いた、ユーモア漫画です。
ぼくが、まだ雑司ヶ谷の鬼子母神前のアパートに住んでいたころ、とつぜん「小説サロン」と「平凡」という二つのヤング誌から連載ものをたのまれました。
おとなものは、それまでにも新聞などにかいていたのですが、ハイティーン向けははじめてで、正直いってまごつきました。ターゲットをしぼりきれないのです。もちろん、ヤング向けの劇画なんかは、ほとんどまだ生まれてなかったころの話です。
「ひょうたん駒子」は、ちょうどそのころ南極観測船がはじめて南極に基地を設けたニュースをヒントに、アイディアを思いついたのです。それだけのアイディアで、あとはかいているうちになんとかものになっていくだろうという、まことに無責任きわまるスタートでした。そして、予想どおり無責任なキワモノになってしまいました。
(手塚治虫漫画全集「ひょうたん駒子」より)
発表
発表日:1957年9月 – 1958年8月
出版:平凡 平凡出版
あらすじ
南極で発見された原始民族・オングル族の娘、コマコは、学術研究の名目で日本に連れてこられる。文明社会に慣れていない彼女は、東京の街で次々と騒動を巻き起こすが、気立てが良く、力持ちで美人という魅力を持ち、周囲の人々を惹きつけていく。
駒子は、街で出会った役者志望の青年・三平に心惹かれ、彼との恋模様が物語の軸となる。一方で、彼女を利用しようとする悪役・蛇塚や、南極から駒子を連れ戻しに来た元恋人・ゴリゴなど、個性豊かな登場人物が絡み合い、物語はドタバタ劇へと展開していく。
最終的に、駒子は南極に帰るか、三平と共に生きるかという選択を迫られる。ナンセンスなギャグと騒動の中に、文明批判や人間の本質への社会風刺が光る作品となっている。
収録されてる出版物
| タイトル | 出版社 | 発行年 | ページ数 | 判型 |
|---|---|---|---|---|
| 手塚治虫文庫全集 ひょうたん駒子 | 講談社 | 2011年6月10日 | 512ページ | 文庫 |