
“月の女”に幻想を抱いた男たちが次々破滅していく、恋と現実の落差を描いたブラック寓話。
発表
発表日:1969年8月1日
出版:漫画讀本 読売新聞社
あらすじ
46歳のサラリーマンは、ナイトクラブ「ムーンライト」で働く女性・かぐや姫に夢中になってしまう。
この恋について奈良森先生に相談すると、
「彼女は月並みな女だ。冷静になりなさい」
と忠告される。
しかし男はその忠告を聞かず、かぐや姫と結婚してしまう。
ところが──
その夜、かぐや姫が化粧を落とすと、顔はアバタだらけで、性格もひどい“クズ女”であることが判明する。
男は別れを決意するが、かぐや姫はすでに子どもを身籠っていた。
子どもを引き取ることになった男だが、かぐや姫は長男に目をつける。
そして長男も同じ末路をたどり、その後、次男も三男もかぐや姫の毒牙にかかっていく。
四男が犠牲になる前に、男はついに訴えることを決意する。
しかし──
8月15日の夜、かぐや姫は突然姿を消した。
ちょうどその頃、テレビではアポロ12号が月へ到達したという番組が流れていた。
宇宙飛行士は月をこう表現する。
「アバタヅラで、ヒビ割れとシミだらけ。月は遠くから見る方がいい」
地球へ持ち帰るものも何もない。
「なんのために月へ来たんだ」と虚しさに襲われ、宇宙飛行士たちはヤケ酒を始める。
番組を見ていた男たちも、その気持ちが痛いほど分かり、酔い潰れた。
しばらく連絡のなかった奈良森先生もまた──
かぐや姫の餌食になっていたのであった。
収録されてる出版物
備考
- アポロ12号が実際に月へ着陸したのは1969年11月19日。作品が発表されたタイミングではまだ打ち上げもされてなかった
【資料】
・手塚治虫文庫全集 フースケ 講談社