アラバスター


引用:アラバスター 立東舎

差別と復讐、そして「美」への憎悪を描いた異色SF犯罪サスペンスです。

「黒手塚」と呼ばれれる、人間の闇や社会の歪みを描いたダークな作品の代表作。
手塚治虫自身が「嫌いな作品」と語るほど、暗く救いのない物語です。

発表

発表日:1970年12月21日 – 1971年6月28日
出版:週間少年チャンピオン 秋田書店

あらすじ

元オリンピック金メダリストの佐野次郎は、顔のアザを理由に恋人三室令子に裏切られ、冤罪によって投獄される。彼は獄中で、物体を透明化する「F光線」を開発した科学者と出会い、その技術を譲り受ける。
出所後、ジェームズは自らにF光線を照射し、皮膚だけが透明になった異形の姿となる。彼は「アラバスター」と名乗り、恋人への復讐を皮切りに、美しいものへの憎悪を燃やしながら社会への報復を開始する。
やがて彼は、完全に透明な体を持つ少女・小沢亜美や、孤独な少年山形絃哉と出会い、彼らを仲間に引き入れる。アラバスターは「美」に支配された社会を破壊しようとするが、次第に仲間との関係は軋み、彼自身の狂気も深まっていく。
FBI捜査官ロック・ホームとの対決、仲間の裏切り、そしてアラバスターの孤独な戦いの果てに、物語は救いのない結末へと向かう。彼の復讐は、社会の差別構造と人間の心の闇を浮き彫りにしながら、静かに幕を閉じる。

※単行本では以下のとおり変更されている
佐野次郎⇒ジェームズ・ブロック
三室令子⇒スーザン・ロス

副題

  • 第一章「開幕」
  • 第二章「亜美の秘密」
  • 第三章「畸型城」
  • 第四章「FBIの使者」
  • 第五章「ピエロの首」
  • 第六章「うずまき」
  • 第七章「兄といもうと」
  • 第八章「殺しへの巡礼」
  • 第九章「湖のとりで」
  • 第十章「脱出作戦」
  • 第十一章「大団円」

収録されてる出版物

タイトル出版社発行年ページ数判型
アラバスター立東舎2018年12月15日528ページB5

登場キャラクター